プロジェクトストーリー

DXで地方創生 村をまるごとデジタル化目の前の困りごとを解決し、未来を創る

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チェンジはグループ全体で「日本を持続可能社会へ。」を掲げています。それに向けて必要なのが地方創生とDXです。今回紹介するのは、高知県の日高村で実施されたプロジェクト。KDDI社などを始め他社とも協働しながらのDX推進の道のりと、それに関わった若手社員の成長について話を聞きました。

プロジェクトストーリー

NEW-IT 金融・公共チーム シニアコンサルタント 阪田 友恵

プロジェクトの始まりと概要スマホで住む人の生活の質を向上

プロジェクトの概要を教えてください。

プロジェクトストーリー

高知県日高村でデジタル化を推進することで、住民生活を包括的に変革するプロジェクトです。いわゆる自治体DX支援ですが、防災、健康、情報の3つの課題解決を柱にしています。例えば防災では、南海トラフ地震で甚大な被害が予想される地方であることから、無線など現状のインフラ以外のものを構築することなどがミッションでした。

スタートから数年立った現在、村内ではスマホをベースにしたデジタルインフラが構築され、それを活用した新たな事業やプロジェクトが次々に動いています。マイナンバー普及に向けた地方通貨活用の仕組みを導入したり村独自のスマホアプリを開発したりと、多くのステークホルダーが関わる事業に成長しました。

今では大規模なこのプロジェクトのきっかけとは?

ふるさと納税などの仕組みで地方創生をサポートするトラストバンク(グループ会社)を介し、2021年頃に話があったようです。最初は村役場の一担当部署が担う課題解決からスタートしました。デジタルで住民の暮らしを便利で豊かにするには、住民一人ひとりに対するオンラインへのタッチポイントを増やすことが不可欠であろうとの話から、スマホ普及を目指すことになったのが始まりでした。

阪田さんは、いつ頃からこのプロジェクトに加わっていますか?

プロジェクト初期から関わっていました。提案自体は上司の尾形さんが取り仕切りましたが、その段階から少しずつですが私もサポートをしていました。
実は、アサインされたのが新卒で入社して1年目の頃で、声をかけられた時は驚きつつも、とても興味を惹かれましたね。
何よりもその時掲げていた「スマホ普及率100%」というスローガンにワクワクしたのを今でも覚えています。

プロジェクトでの苦労「全国初の取り組み」手探りで試行錯誤の毎日

プロジェクトを進めるうえで、苦労はありましたか?

このプロジェクトは、スマホで何をするかに加え、ツールであるスマホを普及させる仕組みづくりも必要でした。
冷静になってみると「スマホ普及率100%」までの道筋が全く見えない。村に住む5,000人、しかも高齢化率も高いなか、何をどう伝えればスマホを持とうと思ってくれるのかも描けないなかでのスタートでした。
全国的にも珍しい取り組みだったこともあり、もちろん社内に知見もありません。協業するKDDI社も日高村の担当者も正解を持っていないなか、試行錯誤を繰り返すしかなく、仮説を立てては実行し、失敗したら改善するというサイクルを何度も繰り返しました。最初の頃は住民向けのスマホ説明会を企画し、大きなホールを借りたのにたったの4人しか来なかった、なんてこともありました。

何よりも私自身の中に迷いもありました。そもそも、スマホを普及することが本当に高齢者のためになるのかが、当初自分のなかで腑に落ちていませんでした。

やり続けられた原動力「誰もやったことがないこと」の旗振り役として

それでも続けられたのはどうしてでしょうか?

日高村の担当者や関係者と事業を進めながら話すなか、地方の実情や課題がクリアになっていったのが大きいと思います。何よりも、最初操作に難しさを感じて戸惑っていた高齢者の方が楽しそうにスマホを操作する姿が印象的で。「自分自身の選択肢が広がった」などと話すのを聞くと、その人が本来持っていた力を引き出す、いわゆるエンパワーメントにも貢献できたと感じました。そのあたりから、プロジェクトをやってよかったと思えるようになりましたね。

「誰もやったことがないことを、自分たちが旗を振っている」ことにも大きな喜びを感じていました。何よりも、まだ入社したばかりの私に色々任せていただいて。徐々に社外の関係者も「プロジェクトを推進してくれる人」と私を認めていって下さったのも、大きな支えとなりました。

プロジェクトストーリー

プロジェクトと自身の成長と「自分事として捉えること」その大切さを知った

プロジェクトを進めるなか、阪田さん自身も変わりましたか?

チェンジは年次や経験に関係なく「挑戦」させてくれる組織です。しかも周りがフォローしてくれるという安心感もあります。
私自身、入社当初は消極的なタイプで、失敗を恐れていた人間だったのですが、尾形さんから何度も「なんでやらなかったの?やってみようよ」との言葉をいただき、日高村のプロジェクトでは、次は私が資料を作ってみよう!、今度の説明会は私が説明してみよう!と挑戦しながら、できることを拡げていくことができました。
もちろん失敗も多かったんですが、そのたびに「いいよ、いいよ。次、次!」なんて励ましてもらえる環境で自由にやらせていただいたのが、大きく変われた要因だと思っています。

他にもメンバーの皆さんが大変忙しく、大事なことが抜け漏れそうになることもありました。「私が忘れてしまったら、本当にプロジェクトが止まってしまう」と身に沁みてわかる場面も多く、「私のプロジェクトなんだ」との思いを強く持つようになり、自分事で取り組むことの大切さを感じましたね。振り返ってみると、今回のプロジェクトは、私の仕事のスタンスを変える大きなインパクトがあったと実感しています。

プロジェクトと自身のこれからこの取り組みを全国に拡げるために

これからもこのプロジェクトは変化していきそうですね。

今は事業に新たに加わる仲間を増やしています。最近では多くの自治体の方が視察に訪れることが増えたため、この取り組みを全国へ普及させるための組織、「一般社団法人まるごとデジタル」を設立しました。その賛助会員の方々とも新たなつながりが生まれ事業が生まれていくとも思います。

振り返るとこのプロジェクトはチェンジの良いところが活かされたとも強く感じています。私たちは仮説を立てて実行し検証するプロセスを、いかにスピード感をもってやるかを大事にしています。誰も正解を知らないなか、失敗と改善を繰り返すことで今回の事業はより良いものになっていったと感じています。

地方創生は、社会的にも大きな課題です。そこに関わってきたいとの思いはありますか?

人口減少で既存の自治体の仕組みやインフラが機能しなくなっている中、住民生活の質を維持・向上していくのは日本にとって喫緊の課題と言われています。日高村で実現したことは全国各地で必要なことだと思っており、今回の成功事例を各地へ広げていくことで、地方全体がより良い方向へ変わっていく支援をしたいと思っています。

最近では、日高村に限らず自治体の方々と話す機会が増えてきました。皆さん自分の住む街が好きで誇りを持っていますが、様々な要因で持続が難しくなっている現状を見聞きしています。正直、私自身が社会課題を解决するんだという実感はまだ持てていない時もありますが、今は目の前の困りごとを抱える方々を助けたいとの思いが強いです。そして結果として、日本全体を変えることにつながれば、嬉しいですね。

「自分ごと化」できるようになったのが大きな成長

このプロジェクトを通して、何でも自分でやろうとする姿勢が見えてきたことは良かったですね。「当事者意識を持って、プロジェクトを進めよう」とよく話したことを覚えています。それでも最初は、議事録を取ることを頑張るだとか、サポート的な立ち位置を抜けきれなくて。このプロジェクトでは「失敗してもいい」を共通認識として進めました。挑戦と失敗を繰り返す中、責任感ややりがいなどが芽生えてきたのではないでしょうか。今では阪田さんは、お客様・協業相手から見てもこの案件にとって欠かせない人になっています。

チェンジの未来は、これからチェンジの中核を担う若手が様々な経験をし、いかに成長していくかにかかっています。この案件での経験を一つのきっかけとして、これからも前のめりに挑戦し続けて欲しいと考えます。

New-IT
産業チーム ディレクター
尾形 正則