變化のはなし

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#013 IP悪用とAIの攻防戦

2026.10.07

こんにちは、野田知寛です。突然ですが、皆さん、日本にはどれくらいの知的財産、いわゆるIPがあるかご存じでしょうか。
漫画やアニメ、ゲームのキャラクター、音楽、映像作品、玩具、さらには地域や企業が育ててきたブランドまで含めると、その数はAIでも正確には数えられないようです。国内で登録されている商標だけでも数百万件あるとのことですし、世界中で愛されているキャラクターやコンテンツをこれだけ抱えている国もそう多くありません。日本はよくIP大国と言われますが、たしかにそう呼ばれるだけの知的財産が身の回りにもある気がします。
もっとも、価値あるものがあれば、それを利用しようとする人がいつの時代にもいると思います。模倣品や海賊版は以前から問題になっていましたが、最近はAIを使った偽コンテンツまで見かけるようになりました。権利者が受ける損失は世界的にも大きな規模になっているようです。今日はそんな日本IPの保護について考えてみたいと思います。


悪用の形も変化
子供の時には気にも留めなかったですが、IPの悪用ということでいうとお祭りの屋台に並んでいたアニメキャラクターのお面を思い出しますし、今思えば、権利的には微妙なものもあったのでしょうが、少なくとも当時はそこまで深刻に受け止められてはいなかったように思います。その後、インターネットが普及し、模倣品はECサイトを通じて国境を越えて流通するようになりました。そして今はさらに状況が変わっています。生成AIで人気キャラクターによく似た画像や動画を大量に作り、それをショート動画としてSNSに投稿し、再生回数や広告収益を得る。そんな光景も散見されるようになってしまいました。

投稿する側にしてみれば一本の動画かもしれませんが、IPホルダーの側から見ると話は別です。本来得られたかもしれない収益機会を失うだけではなく、ブランド価値が毀損されたり、利用者が誤認したりする可能性もあります。これまで模倣品販売への対応であれば販売元や流通経路を追うことができましたが、SNS上で大量に生まれては拡散していくAIコンテンツは、発生する速度も量も桁が違います。追いかける側も相当に大変だろうなと思います。

AIにはAIで対抗するしかない?
大量にAIで作られたものには、大量に処理できる仕組みで対抗するしかやりようがないでしょう。毎日何千、何万という投稿を人の目だけで確認し続けるのは現実的ではありません。AIによる投稿とその削除のモグラたたきを続けていては、必ず人が先にバテてしまいます。実際には、AIを使って画像や動画、テキストを分析し、IP侵害の疑いがあるコンテンツを自動で検出する取り組みが進んでいるようです。AIがネット上を巡回して侵害の可能性を見つけ、その結果をもとに削除要請やアカウント停止の申請を行う。生成AIがコンテンツを生み出し、それを別のAIが検出する。すでにIP保護の世界は、AI対AIの時代に入りつつあります。

最後に残る人の仕事
ただ、業務のすべてをAIに委ねられるわけではありません。検出AIがどれだけ賢くなっても、巧妙に作られたコンテンツがすり抜けることはありますし、逆に問題のないものを誤って侵害と判断してしまうこともあります。権利侵害の有無は単純な類似度だけでは決まらず、法律や文化的背景、その文脈まで見なければならないことも少なくありません。最近よく耳にするヒューマンインザループという考え方がありますが、こういうことを指しているのだろうなと改めて思います。大量の検出や分析はAIが行い、人はその中から難しい案件や重要な案件を判断する。気が付けば業務の大半をAIが処理し、人間は例外対応や意思決定を担うという形が少しずつ現実のものになってきています。

ほんの少し前までは、自分の仕事も会社のビジネスモデルも業務プロセスも、一切合切変えていけるなと思っていましたが、想像以上にそのスピードは速く、そのスピードに適応できた組織が伸長し、そうでないところが退場を強いられる状況にもなってきたなと感じます。

次回は、日系企業の海外進出の今後についてです。それではまたこの場で会いましょう。 

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