變化のはなし

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#014 日本企業は何を輸出するのか

2026.10.21

こんにちは、野田知寛です。先日、インドネシアのジャカルタへ出張に行ってきました。
インドネシアは久しぶりでしたが、中国駐在も経験しているので東南アジアの空港や街並みにもそれなりに見慣れているつもりだったのですが、今回、現地へ行ってみて感じたのは、中国人の出張者が多いなということでした。空港の到着ロビーからそうでしたし、市内へ移動する間も中国語を耳にする機会が多く、街へ出れば中国メーカーの車も目立つ。ジャカルタで働く日本人駐在員の方々と話をしていても、中国企業や中国資本の存在感はここ数年でかなり大きくなったという話を何度も聞きました。以前は日系企業の名前をあちこちで見かけたものですが、最近は少し景色が変わってきているようです
。


求められていたのは人材育成
今回の出張では工業団地や製造業に関わる方々とお会いする機会もありました。ジャカルタ近郊には多くの日系製造業が進出していますし、実際に私たちも工業団地で働く人材向けの教育事業を進めています。 現地で話をしていると、日本製品への信頼や日本そのものへの親しみは今でもかなり強く残っていることを感じます。もちろん中国企業の勢いはありますし、投資額や事業規模で見れば存在感も大きいのですが、製造現場の話になると「品質」「改善」「管理職育成」といった言葉が出てきます。現場リーダーを育成したい、品質管理を強化したい、工場を任せられる管理職を増やしたいという話も。実際、工業団地向けの教育プログラムも進められており、人材育成への関心は非常に高いことを改めて感じました。

若い国の悩み
インドネシアの人口は約2.8億人、生産年齢人口は全体の約7割を占めています。労働力人口も1億4,000万人を超えており、日本から見ると羨ましいほど若い国です。 ただ、その一方で労働者全体を見ると、小学校卒業以下の学歴層がなお3割を超えており、高等教育を受けた人材はまだ一部です。 以前、日本企業が海外へ製造拠点を移すというと、人件費の安さが中心に語られていました。もちろんそれも重要なのですが、実際に現地へ来てみると、人が足りないという話より、人をどう育てるかという話が多くなっているように感じます。人を育てなければ、という声は日本が高度成長期を経験していた頃にも似ているのかもしれません。

何を輸出するのか
昔、日本企業が海外へ持ち込んだのは自動車や機械や設備でした。その後は工場そのものを持ち込み、多くの雇用を生み出しました。今もその流れは続いていますが、今回ジャカルタを歩きながら感じたのは、これから求められるものは少し変わっていくのではないかということです。モノや工場だけではなく、人を育て、組織を強くし、品質を高めていく。日本企業が長い時間をかけて培ってきた、そうしたノウハウも伝えていくということになるのではないでしょうか。日本人からすると当たり前に見えることでも、海外から見ると価値として映るものは少なくありません。特に製造業の現場で蓄積されてきた人材育成の仕組みや考え方は、日本企業が思っている以上に競争力になるのではないかと思います。

日本企業の海外進出は終わらない 
中国企業の勢いを見ていると、日本企業はもう勝てないという話になりがちです。実際、規模やスピードだけで比較すればそう感じる場面もあります。ただ、今回ジャカルタ出張を振り返ると、競争する場所そのものが変わっているのではないかという気もします。安く作ることや大量に作ることだけが勝負になるのであれば厳しいかもしれませんが、人を育てることや組織を強くすること、品質や改善文化を現場に根付かせることについては、まだ日本企業が期待されている部分も多い。「管理職を育てたい」「現場を強くしたい」という現地の方々の言葉の中に、次なるビジネスの可能性があるような気がします。

次回は、労働とAIについてです。それではまたこの場で会いましょう。 

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