變化のはなし

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#015 日本のIPは、アニメやゲームだけではない

2026.11.04

こんにちは、野田知寛です。今回は、「労働とAI」について書くと予告していたのですが、前回の海外進出の話から、もう少し日本が世界に持っていけるものについて書きたいことが出てきたので、予定を変えたいと思います。

日本に何をしに来たのか
日本のIPというと、ポケモンやマリオ、ドラゴンボール、ONE PIECEといった世界的なキャラクターやゲーム、漫画やアニメがまず頭に浮かびます。実際、日本発コンテンツの海外売上はかなり大きな産業になっています。ただ、IPというものをもう少し広く捉えると、日本にはまだ自分たちでもIPだと思っていないものが相当あるような気がします。訪日外国人がこれだけ増えているのも円安や日本食、アニメだけが理由ではないんじゃないかと。欧米から見ればFar East、米国からはFar Westにある小さな島国まで、相当な時間をかけてわざわざやって来る、それだけでも日本にはまだこちらが気づいていない価値があるのだろうと思います。

「そんなもの」が価値になる
外国人旅行者に「日本に何をしに来たのか」と尋ねて、そのままついていくテレビ番組がありますが、見ていると「そんなものをわざわざ見に来たの?」と思うことがありませんか?地方の何ということもない風景だったり、昔からある小さなお店だったり、職人の仕事だったり、電車の正確さやコンビニの商品、居酒屋や商店街だったり、こちらが普段の生活の一部としてほとんど意識していないことを、腹の底から面白がっている。(私は粕漬けにのめりこんでいる方の放送にとても驚きました)。自国では見たことがないからこそ、日本まで見に来ている。そう考えると少し乱暴ですが、製造業に比べて、こうした生活の仕方やサービス、文化を、日本はまだ十分に海外へ持っていけていないことの裏返しとも言えるのではないかなと。

カルチャーそのものをIPにする
この辺りはお隣の韓国が先を行っていますよね。K-POPやドラマ、映画、ゲームを海外へ売るだけではなく、それらを入口に韓国そのものへの興味をつくり、化粧品やファッション、食、観光までつなげてきました。日本にも漫画やアニメ、ゲームという強力なコンテンツがありますが、個々の作品を輸出することと、国そのもののカルチャーを一つの大きなIPとして海外へ持っていくことは少し違います。

名前のついていないIP 
前号では、日本企業が海外へ持っていけるものとして人材育成の仕組みや考え方に触れました。製造業が長年やってきたOJTや改善活動、技能伝承は、日本では当たり前の仕組みでも海外へ持っていけば十分に価値を持ちます。もっと広げれば、日本語もBIG IPですし、人との距離の取り方や内と外を分ける感覚もかなり日本的です。大和魂や武士道、大和撫子という言葉も、今では扱いが難しいところがありますが、その中に含まれていた責任感や節度、他者への配慮までなくなったわけではありません。日本人同士なら説明しなくても通じてしまうので、わざわざ名前を付けたり体系化したりしてこなかったものを、外国人に面白がられて初めて、これは日本特有だったのかと気づくこともあります。

もう一度、世界に出ていく 
これから日本の総人口が減っていけば、国内だけを相手に同じ商売を続けるのはますます難しくなります。海外進出というと工場を建てたり、海外支店を作ったり、製品を輸出したりすることを思い浮かべますが、日本では普通すぎて誰も値札を付けてこなかったものを見つけ、名前を付けて、ある程度の形にして海外へ持っていくことも海外進出なのだと思います。それ自体を海外で売ってもいいし、それを知った人が日本に来てくれれば観光にもつながります。
日本のIPを守るという話から始めたのですが、考えているうちに、そもそも私たち自身がIPだと認識していないものの方がたくさんあるような気がしてきました。外国人が日本で何にお金を払い、何を写真に撮り、何をわざわざ自国へ持ち帰っているのかを見てみると、結構面白いものがまだ残っているんじゃないでしょうか。

次回こそ「労働とAI」について、になるかはちょっと自信がありませんが(笑)、それではまたこの場で会いましょう。 

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