変化のはなし

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#001「正解は何ですか?」と聞かれる時代に、私たちはどう向き合うか

2026.04.01

こんにちは。チェンジの野田知寛です。
2026年4月。今年もたくさんの新社会人が新しい門出を迎えていることかと思います。私は、期待と緊張が混ざった表情の新社会人を見かける桜の時期がとても好きです。そして心の中で、「ようこそ社会人の世界へ!」と呟きます。

さて、今回は仕事に対する価値観やそのすれ違いについて触れたいと思います。
最近の若い人たちと仕事をしていると、「正解は何ですか?」「これって何のためにやるんですか?」と聞かれる場面に出くわすことがあります。そういう瞬間に、少し時代が変わったなと感じる人もいるかもしれないですし、少なくとも私はそのように感じます。以前なら「とりあえずやってみよう」「やりながら覚えよう」で通じていた場面で、立ち止まるようなやり取りが増えているようにも。ただ、こうした姿勢をもう少し丁寧に眺めてみると、単なる受け身や消極性とは違うものが見えてくることもあります。彼らはどうやら、闇雲に遠回りをするよりも、できるだけ見通しの立った道を選びたいと考えているようだなぁと。いわば「ネタバレ前提で最短ルートを進みたい」タイプ、とでも言えば近いかもしれません。 

この考え方がどこから来たのかを考えると、育ってきた環境の影響はやはり大きいはずです。彼らが子どもから大人へと成長する過程で見てきたのは、努力すれば報われると単純には言い切れない社会だったはずで、景気の先行きは不透明、かつ正解がころころ変わり、将来の話をすると不安材料のほうが先に浮かびやすい。そこにSNSが重なり、誰かの成功や失敗がリアルタイムで流れてくる世界が日常という環境では、「失敗してから学ぶ」という発想よりも、「失敗しない選択をする」ことのほうが合理的に感じられても不思議ではないと思うのです。私生活において映画を見る前にネタバレサイトをチェックしたり、商品を買う前に口コミを読み込んだりするのと同じ感覚で、就職についても「入社したら実際どうなるのか」を先に知っておきたいと思うようになったとしても、自然な流れなのです。

最短ルートを選びたがる姿勢も、楽をしたいというよりは、限られた時間やエネルギーをどこに使うかをシビアに考えた結果なのかもしれないなと。正解がすでに見えているなら、わざわざ回り道をする理由が見つからない。成功パターンが共有されているなら、それを参考にするのは無駄を省く行為だ、という感覚が根付いているようにすら感じます。こうしたタイプの人たちは、目的や意味がはっきりしない行動に対して、少し腰が引けやすい傾向があるように感じられ、「なぜそれをやるのか」「それをやると何につながるのか」が分からないと、全力を出しづらい。失敗についても、「いい経験だったね」で済ませるより、「避けられるなら避けたい出来事」として捉えているように見える場面があったりします。評価やフィードバックがない状態が続くと、自分が合っているのかどうか分からず、不安になりやすいところもあるかもしれません。

一方で、感情論や根性論に対しては、やや距離を取ることもあります。
「気合で乗り切れ」「見て覚えろ」と言われても、具体的にどう動けばいいのかが見えず、戸惑ってしまう。それもそうですよね、「気合で乗り切れ」ってどういう行動なのか言っている本人もわかっていないことが多いのですから。けれど、仕事の背景や判断の基準がきちんと共有されたときには、驚くほど早く理解し、動き出す姿が見られることも少なくありません。こうした特性をあまり意識せず、これまでと同じ育て方や関わり方を続けていると、微妙なすれ違いがあちこちで生じます。「まずはやってみよう」という言葉が成長のチャンスではなく、「先が見えない状態」に放り出された感覚として受け取られてしまい、その結果、消極的に見えたり、距離を置いているように感じられたりすることがあるでしょう。
ただ、それは反抗というよりも、自分なりに状況を判断し、納得できない環境から一歩引いているだけ、という見方もできます。逆に、仕事の目的や期待されているレベル、その先にどんなステップがあるのかが見えた瞬間、彼らは一気に前に進むことがあります、本当に。学習のスピードが速いのも、そうした背景があるのだとほぼ確信に近いものがあります。

関わり方として大切なのは、過剰に手取り足取り教えることというより、「全体像」を見せることなのだろうなぁとつくづく思います。ここまでは試していい、ここは失敗しても大丈夫、といった枠が分かるだけで、安心して挑戦できる人もいるはずで、短くてもいいから、こまめに方向性を伝えることで、自分の立ち位置を確認できるようになることもあります。
抽象的な期待を投げるより、「次に同じ状況が来たら、何を考えればよさそうか」を一緒に言葉にするほうが、しっくりくる場合もあったりします。ネタバレ前提・最短ルート型の人たちは、扱いづらい存在というより、条件が整ったときに力を発揮しやすい存在で、遠回りよりも効率を重視し、学び方そのものを最適化してきた世代だと考えると、その特性はこれからの組織にとってヒントになる部分も多いように思います。彼らとの向き合い方を考えることは、ある意味でこれからの育成やマネジメントの形を探ることにも繋がっていくのだろうと。

次回は、インバウンド需要の裏側にみるおもてなしとテクノロジー活用についてです。それでは、またこの場で。

 

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