この記事は、リモートワーク化での社員育成にお悩みの方向けの記事となります。
働き方改革のなかで各社がリモートワークの可能性を模索していましたが、感染症拡大によって半ば強制的にリモートワークに移行して暫くの時が経ちました。今となっては様々な場所で勤務することが定着し、出社して勤務していた頃が懐かしくもあったりします。「通勤のストレスから解放された」、「自宅のほうが作業が捗る」といった声もよく耳にしますし、それ以外にもたくさんのメリットがあるのも実際のところでしょうから、今後もリモートワークは働き方の選択肢であり続けるように思います。
リモートワークが普及することによって、これまでにはなかった問題がでてきてもいます。お仕事柄、人に纏わる相談事をいただくのですが、最近はリモートワークによって、これまで現場で行っていた育成が出来ず、若手が育たないという声を多く伺います。それもそのはずです、教える側(トレーナー)は、教わる側(トレーニー)が持っている能力(技能・知識・姿勢)をもとにしながら、少し難易度を感じる仕事を割り当て、様子を観察しながら、状況に応じて必要なアドバイスやフィードバックを出来たわけですし、トレーニーからしても上司の状況を観察して、適宜相談をすることが出来たのですから。そうすると、On the Job Training(以下OJT)と呼ばれる実際の仕事を通じて指導し、知識、技術などを身に付けさせる教育方法は常々、観察という行為があって成り立っていたとも言えそうです。
ただこの考え方が正だとすると、リモートワークでは観察が行き届かないので人が育たないということになっていますが、本当にそうなのかという問いにぶつかります。
少し遠回りになりますが、OJTについて紐解いてみます。OJTの始まりは第一次世界大戦に遡ります。アメリカで軍用艦を増産する造船所の働き手を大量に採用し、育成することが急務だったようです。その任に当たったのが人財育成のチャールズ・R・アレンと言われていますが、彼が造船所の現場責任者が新人を直接訓練する手法を編み出したと言われています。
その手法は、(1)手本を示す→(2)説明する→(3)やらせてみる→(4)確認・指導する→という段階を踏ませることで新人に短期間で技能を習得させる4段階職業指導法と呼ばれるものです。
日本においても、戦後の高度経済成長期の大量採用で、この指導法が採用され企業内育成手法として定着したということはよく知られた話かもしれません。
さて、話を戻してリモートワーク下におけるOJTが成り立たないかという問いについてですが、4段階職業指導法に沿ってそれぞれの働き方を作業指示者目線で整理していきたいと思います。
やはり対面であれば、作業指示者と作業者の双方が、作業指示から作業遂行・報告までの一連の流れの中で得られる表情や様子といった副次的な情報をもとにした働き方ができるように思います。他方、リモートワークは、副次的な情報を得られないことが必至なので、それを補うために、以下の3点がOJTにおけるポイントになるでしょう
言ってみれば難しいことではありませんし、むしろそんなことかという感じがしなくもありません。もちろんこれら3点を徹底したとしても思うように仕事が進まなかったり、なかなかどうして効率的に働けないということはあるでしょう。ただ、当たり前のことを当たり前のこととして取り組むことが、リモートワーク(業務)を通じて人を育てるという経験のない営みにおいてはとっても大切なことかと思います。
今後の環境変化に左右されず、リモートワークでのOJTが一定定着したとすれば、より生産性の高い成果を期待できそうですし、いつの時も創意工夫で乗り越えていきたいですね。
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