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<5つの力?>

研修とコンサルティングの株式会社チェンジ Presents
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『ビジネス・チュートリアル』No.25
いまさら聞けないビジネス常識を、読者の皆様だけに、こそっと
教えます。
※チュートリアル(tutorial):家庭教師・個別指導の意

<<『フレームワーク』第3集>>
〜5つの力?〜

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毎週ご愛読ありがとうございます。(株)チェンジの金田です。
だいぶ暑くなる日も増えましたが、そろそろ梅雨入りしそうな
勢いでもあります。

さて、成田空港の第1ターミナル南ウイングが6月2日にグランド
オープンしました。
まだ、私自身は出かけてはいませんが、NAKAMISE(ナカミセ)と
銘打ったコーナーにブランドショップを並べ、デパートや
「○○ヒルズ」のような雰囲気だそうです。

第2ターミナルがオープンして以来、第1ターミナルは「古臭い」
イメージがありました。しかし、これからは第1ターミナル発着と
なる全日空系(スターアライアンス系)の人気が、ターミナルを
理由に高まるかもしれません。

ただ、これまで以上に第1ターミナル発着便が増えるので、利用
ターミナルにはお間違えのないようご注意ください。

しかし、個人的には成田空港を単なるショッピングモールにする
だけではなく空港としてのあり方を、もう少し考えてもらい
たいなぁと思ってしまいます。

今、世界の国際空港は、ハブ空港(空のターミナル駅)としての
生き残りを目指しています。
以前から、ハブ空港として離発着の多い、オヘア空港(シカゴ)、
ヒースロー空港(ロンドン)、フランクフルト空港、
シャルル・ドゴール空港(パリ)、ドバイ空港などでも、より
利便性を高めるべく24時間営業や、エンターテイメント施設、
休憩施設の充実を図っています。

特にアジアでは、チャンギ空港(シンガポール)、
クアラルンプール空港、インチョン空港(ソウル)、香港空港等が
アジアハブとしての凌ぎを削っています。

バンコクもハブ空港として勝ち残るために、スワンナブーム空港を
2006年9月にバンコク市の近くに開港します。
現在のドン・ムアン空港も、プール施設やリフレッシュルーム、
無料市内観光サービス等を備え、顧客満足度では上位にランキング
されています。
しかし、バンコク市により近い空港をオープンし、顧客ニーズに
応え、ハブ空港の覇権争いに勝利しようとしています。

成田も、国内のお買い物客を集めるだけでなく、国際空港として
そもそも利用客数・便数を増やす観点で、空港整備を進めて
欲しいものです。
土地収用等、難しい問題はあるのでしょうが、各県に小さな空港を
沢山つくるのではなく、環境変化に敏感になり、もっと広い視点で
計画して欲しいです。

今週は、先週のSWOT分析に続き、「5 Fores Model(以下、5FM)」
日本語で言うと「5つの力」と呼ばれるフレームワークをご紹介
します。
まさに、広い視点で生き残りの戦略を立てるためのフレームワーク
です。


◆◆◆ 5 Forces Model 〜5つの力とは? ◆◆◆


5FMは、ある業界における競争の状態を捉えるための
フレームワークとされます。

ビジ・チュの21号『競争戦略って何だ?』(※)にも登場した、
マイケル・E・ポーター先生が考案したフレームワークです。

※21号のバックナンバーはこちら
http://www.change-jp.com/vision/mm/mm_3-6-3.html
(既に5FMをご存知の方は、次の◆◆◆マークまで読み飛ばして
 下さいね)

◆ 5 Forces Modelとは?

5FMは、業界の競争状況を、それに影響を与える5つの力によって
定義しようとしたモデル(概念)です。
5つの力は、以下のように定義されています。

・買い手(顧客)の交渉力
・売り手(供給業者)の交渉力
・新規参入の脅威
・代替品の脅威
・業界内の既存競合同士の争い

これらの力が強ければ、業界の競争は激しいとされ、潤沢に利益を
創出するのが困難と言われます。

具体的なイメージを持つため、毎度おなじみ、ラーメン屋の例で
見てみましょう。

買い手(顧客)の交渉力
・顧客はラーメンに不満があればすぐに他の店や他の食事に
乗り換えることができる
⇒買い手の交渉力は強い

売り手(供給業者)の交渉力
・製麺業者やどんぶりを作る業者、食材を提供する農家等は
このラーメン屋だけに納入しているわけではなく、
取引を中止することはさほど大きなダメージではない
⇒売り手の交渉力は強い

新規参入の脅威
・ラーメン店の開業にはさほど大きな資本は必要なく、また
常に独立開業を望む人も多い
⇒新規参入の脅威は大きい

代替品の脅威
・ラーメン以外の外食産業やカップ麺等、ラーメンに取って
代わる製品・サービスは多い
⇒代替品の脅威は大きい

業界内の既存競合同士の争い
・環七沿い等の激戦区もあれば、その町に1件しかラーメン店が
ない等、エリアによって異なる
⇒業界内の競争はエリアによって異なる

こうしてみてみると、5つの力のうち少なくとも4つは大きく、
ラーメン業界は総じてかなり競争の激しい業界と言えそうです。

ではこれらの「力」の大きさは何によって決まってくるので
しょうか。


◆ 5つの「力」の大きさを決める要素

5つの力の大きさを決める要素は多岐に渡ります。
少しだけ例を見てみましょう。

買い手(顧客)の交渉力を強くする要素
・製品の独自性が低く買い手が自社以外からも容易に購入可能
(例:ラーメンは他の店でも食べられる)
・特定の買い手による購入が、自社の売上の大部分を占める
(例:自動車部品メーカーが、1社のみの自動車メーカーに納入)

売り手(供給業者)の交渉力を強くする要素
・供給業者が少数で、他に選択肢が少ない場合
(例:特殊な部品を高度な技術で加工してくれる業者さん)
・供給業者の変更に面倒/費用が伴う場合(スイッチングコスト)
(例:携帯電話キャリアを替えたら、番号変更の連絡が大変)

新規参入の脅威を大きくする要素
・事業の開始に大きな投資が必要ない
(例:パソコン1台あれば仕事ができるコンサルタント業)
・製品を差別化する要素が少ない

代替品の脅威を大きくする要素
・その製品が満たすニーズや欲求が単純なものである場合
(例:単に食欲を満たすだけなら、他の外食店のどこでも可)

業界内の既存競合同士の争いを激しくする要素
・競合企業の数が多い/同等の力の企業が多い
・製品の陳腐化が早く、価格が引き下げられやすい
・固定費が高く、価格が引き下げられやすい
(例:旅館が、客室稼動率UPのため、宿泊料を値下げする)

以上はほんの一例です。業界を構成する様々な要素が、5つの「力」
に影響を及ぼしていて、これらに対する分析の深さが、
5FMをきちんとアクションにつなげられるかどうかを左右します。


◆◆◆ 5FMから何を見出すか? ◆◆◆

さて、ここまでで5FMがどのようなものかの概要を見てきましたが、
先週のSWOTと同様、情報を整理しただけでは特段何かに役立った
とは言えません。
整理した情報から何を見出すかを考えていきましょう。


◆アクションにつなげる

5FMでの整理は、あくまでその業界が全体として利益を生みやすい
状況にあるかどうかを示すだけであり、個別企業の優位性に
ついては直接的には語ってくれません。

その業界の中で個別の企業がどのように利益を創出していくかは、
競争環境の分析に基づいて策定される戦略に依存するとされて
います。

戦略というと大げさで難しいですが、分析結果から何をするか
アクションの方向性を見出す、ということです。
つまり、問題を先送りせず、意思決定をしましょうという当たり前
のことです。

そのときに、5つの力の背景にある要因を意識していると、
「分析しました!」ではなく、利益を創出する戦略を導きやすく
なります。

以下の3つの視点をもって戦略を考えましょう。

1.5つの力の影響を受けにくいポジショニングを見出す
2.競争要因の変化を予測し、競合他社より素早く対応する
3.競争要因のバランスに自ら働きかけて変化させる

5FMで整理されるのは、あくまで競争状況をある一時点での断面で
切り取った静的な姿です。1つ目の視点は、その静的な状況の中で、
どのようなポジショニングが最適かを見出す視点です。

2つ目の視点は、競争の状況に生じる変化を動的に捉えるところから、
必要なアクションを見出す視点です。

3つ目の視点は、競争要因に変化が訪れるのを待つのではなく、
自らの働きかけによって競争要因に変化をもたらす、という視点
です。


◆変化に注目する

例えば、IT/システムインテグレーション(業務システム構築)業界
の例で見てみましょう。

IT業界は近年、建設業界のように元請け⇒協力会社への再委託、
更に再々委託、という構図になる傾向が顕著になりつつあります。

そんなIT業界の5FMは、かつてはこのような状況だったと思います。

買い手(ユーザ企業):
一度入り込むと、事情に精通した業者に継続発注するのが容易
  であり、スイッチングコストは高く、またITの知識も買い手
  には限られている

売り手(再委託協力会社):
再委託を受けるような協力会社は営業力が十分でなく、元請け
となる特定大手企業との取引に依存する傾向が強い

代替品(汎用事務ソフトなど):
自社の事情に合わせて構築するものが多く、十分に機能代替
できるものはほとんどない

新規参入(他業界のプレーヤ):
元請けとしての参入は、相当な技術者の確保と営業力に加え、
受注型産業のため信頼≒実績であり、容易ではない

業界(IT業界):
大手は比較的安定的な得意業種/顧客の棲分けができつつある
また業界自体が急成長しており、競争は限定的


ところが近年、状況は変化しつつあります。

買い手:
顧客もITに詳しくなり、技術の話についてこれるようになった
ニーズも高度化し、また採算を意識した投資姿勢を強化

売り手:
業界全体が技術者不足で、協力会社も値上げ交渉をするように
なってきている

代替品:
出来合いのパッケージ製品を導入しても、自社向けにカスタ
マイズサービスを提供する業者が充実してきた

潜在参入:
技術者の資格や業者の標準化/品質基準が確立され、実績の
限られた業者でも実力を客観的に示しやすくなった

業界:
元請け志向の競合は総じてフルラインナップ路線を掲げ、
差別化が難しくなっている

このように、「5つの力」それぞれの視点で競争状況の変化を
見出すことができれば、それに応じて優位なポジションを築く
チャンスを窺うことが可能になります。

IT業界の例で言えば、特定技術や特定パッケージソフト製品等に
特化した形で、元請けは狙わないけれども交渉力を維持しよう
とするプレーヤーが現れてきています。

このように、業界の競争環境の変化を見定める際に「何の要素が
変わってきているんだろう?」と考える視点を与えてくれるのも
5FMの特長です。


◆業界の境目を見直す

5FMが世に出されたのは1979年のことですが、当時このフレーム
ワークが画期的だったのは、競争といえば通常、業界内で同業他社
にいかに勝つか、という発想になるところを、同業他社は競争を
もたらす要因の一部に過ぎない、という考え方を示したところに
あります。

この考え方自体は現在でも十分に通用するものですが、一方で当時
と現在では、若干状況が異なる部分もあります。

5FMでは、同業他社以外の4つの力も、全て自社の利益を圧迫する
脅威として取り扱っています。これは、1979年当時は、恐らく
今より産業構造も安定的で、「業界」というものがはっきりと
定義されていたからだと思います。

昨今では、まず「業界」をはっきりと線引きすること自体に困難を
伴います。例えばパソコンを作っている企業/事業は、
情報通信機器業界でもありインターネット業界でもあり、最近では
テレビ受像機能もあるので家電業界ともいえるかもしれません。

こういった状況は、5つの力のうち、「新規参入」「代替品」が、
ひっきりなしに変化している状況といえるでしょう。

また、買い手(顧客)や売り手(供給業者)についても、昨今では
自社の利益を圧迫する対象として見なすことが必ずしも適切ではない
場面に多く遭遇します。供給業者はもちろん、顧客と共に製品を
創って行く、という考え方まで出てきています。

※顧客と一体となった商品開発については、ビジ・チュ18号
『提案営業・ソリューション営業』で触れています。
⇒ http://www.change-jp.com/vision/mm_3-5-3.html


このような時代にあっては、5FMを利用する際にも、「業界」
という概念自体を固定して考えることは、思考の幅を狭めてしまう
恐れがあります。

こういった罠に陥らないためには、5FMでの分析を行う段階で、
「業界」の概念を広げたり狭めたり、と視点をシフトしながら
試行錯誤して考えることが必要になります。

当初「ラーメン業界」で分析を開始したものを、途中で
「○○エリアのラーメン店」と狭めたり、「外食産業」と広げたり
する感じです。

また、逆に自社/自社製品が「新規参入」や「代替品」になり得る
ような他業界の5FMを分析してみる、という視点のシフトも有効です。


◆◆◆さぁ〜て来週の『ビジ・チュ』は?◆◆◆

現場の最先端で「最近何かこれまでのようにうまくいかないなぁ」
とお感じの場面があれば、それはもしかしたら事業の競争環境に
変化が生じつつある兆候かもしれません。

「もう1回バブル来ないかなぁ」と愚痴る前に、5つの力のどの
要素に、どのような変化が生じているのか、分析してみてはいかが
でしょうか。

来週もお楽しみに♪


◆◆◆進捗状況◆◆◆

■:完了 ★:実行中 □:未了(お楽しみに)

<目次(予定)>
 ■:(1)ビジネスモデル
 ■:(2)会計のキホン
 ■:(3)コーポレートガバナンス
 ■:(4)プロジェクトマネジメント
 ■:(5)提案営業・ソリューション営業
 ■:(6)競争力とポジショニング
 ★:(7)フレームワーク 
 □:(8)ユビキタス
 (個別用語解説編)
 □:(9)マネジメント系用語
 □:(10)マーケティング系用語
 □:(11)組織・人事系用語
 □:(12)テクノロジー・IT系用語

振り返ると、もう半分以上も進捗しています。
今週からチェンジのホームページ内でもバックナンバーの掲載を
はじめました。
記事を探しやすくなっているので、是非復習してくださいね。
http://www.change-jp.com/vision/mail_magazine_index.html

◆◆◆ 要望・体験談・コメント募集! ◆◆◆

目次以外にも取り上げて欲しいテーマ・キーワードがあれば、
ご要望をお寄せ下さい。
今回のテーマに関連しそうな皆様の経験談をお寄せください。
また、ご意見・ご質問等も、下記までご遠慮なくお願いします。
info@change-jp.com



◆◆◆ 株式会社チェンジとは? ◆◆◆

私たちチェンジは、社名の通り企業のお客様を対象に「変革」のお
手伝いをしています。具体的には、コンサルティングと企業研修の
2つの事業を通じて、自らを変える必要を感じているお客様に対し、
目指す姿を明確化する企画段階からその企画の実行まで、幅広いご
支援をご提供しています。
詳しくはお手数ですが、弊社WebSiteをご訪問下さい。
URL: http://www.change-jp.com/   Mail: info@change-jp.com


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『ビジネス・チュートリアル』
<<『ビジチュ』第25号>>

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